東日本大震災の津波に呑まれ、後日発見されたカバンです。
お客様によると「一度津波にさらわれたが、せっかく戻って来たカバンなので、使える様に直せないだろうか?」とのご相談です。
通常なら「革の限界なので修理出来ません。」とお断りする程の状態ですが、いろいろお話を伺って、作業をお引き受けする事に致しました。
修理内容は、吟面(革表面)の傷みは敢えてそのまま残し、破れた底マチと傷みの激しい両マチ部分を交換。とのご依頼です。
マチ部分を全交換=全解体となるので、解体した状態がこちらの画像です。
画像上部のマチ部分は新たに製作しますが、他のパーツは再使用するので革や裏地の傷み具合を見極め、必要な箇所には補強を施しながらの作業となり、細心の注意と集中力が不可欠です。
新たに製作した底マチを元の針穴に合わせて慎重に縫い合わせます。
同様に左右横マチも縫い合わせます。
新しいマチと、外見上は分からない補強を数ヶ所に施したので、しっかりと自立する様になりました。
背面の画像です。
修理出来上がりの画像と外したマチ部分です。
実は震災の翌年頃から同様なカバン、バッグ等を数多く修理して来ました。しかし多くの方がホームページ掲載を、ためらわれました。
今回は、お客様のご了解を頂き掲載に至りました。